
集まれ、未来の科学技術者たち! Girls Meet STEM at 慶應理工2025
- #イベント
- #ジェンダー
2025.09.12
2025月8月1日、今年で3回目となる女子中高生のためのキャンパスツアー&座談会「Girls Meet STEM at 慶應理工2025:女子中高生のためのキャンパスツアーと座談会」が開催されました。
この日、矢上キャンパスを訪れた女子中高生の皆さんは、保護者の方々を含めて総勢41名です。
【イベント名】Girls Meet STEM at 慶應理工2025:女子中高生のためのキャンパスツアーと座談会
【主催】慶應義塾大学理工学部
【開催日】2025年8月1日(金)10:00〜12:30
【対象】中学1年生~高校3年生までの戸籍上または性自認が女性の方
【会場】慶應義塾大学矢上キャンパス(神奈川県横浜市)
キャンパスツアーの出発点となるイノベーション施設「Yagami Innovation Laboratory (YIL)」のLIVE HUBに一同が集まると、開会の挨拶と理工学部の概要が紹介されました。
開会の挨拶では、担当教員の清水智子准教授(物理情報工学科)から慶應理工の魅力が語られました。
「慶應理工を貫く基本理念は、創発(emerging)。研究・教育活動において、多様な人たちと共創することで、より良い社会の実現を目指していきます。私たちの大学は、自分の専門分野を究めていくことはもちろん、教養、課外活動、留学などを通じて人間的に大きく成長していける環境にあります。
創立者・福澤諭吉の精神を引き継ぎ、私たちはダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を重視しています。年齢・性別・経歴を問わず、多様な知が集まることで科学技術は進化する――この精神が慶應理工のさまざまな研究成果を生み出してきました。今日はそんな慶應理工の魅力を感じとっていただき、理工系を志す皆さんの将来に役立てれば幸いです」
グループに分かれ、在学生が中高生にキャンパスを案内します。
YIL1階は、学生交流スペース。学生が研究成果を発表したり、コーヒータイムを楽しんだり、勉強したりできる自由なエリア。外部の研究者や企業の方も訪れる共創空間です。うなぎ(eel)をコンセプトにしたYILは開放感にあふれ、カフェのような居心地の良さが漂っています。

2階に上がると、4つのSTUDIOが広がっています。オープンに開かれているので、どの学生も訪れることができ、研究に参加することもできます。最初に迎え入れてくれたのは「はかるSTUDIO」。人間の身体活動などを計測するセンサリングの研究をしています。その技術を応用して開発したのが、ぬいぐるみをロボット化できるデバイス! 将来的には、遠隔コミュニケーションやセラピーロボットに応用する研究を進めています。

「うごかすSTUDIO」では、四足歩行ロボットが登場。歩いたり、ダンスをしたり、言葉を覚えるなど学習する頭脳を備えています。惑星や活火山などで活躍するロボットを生み出す、フィールドロボティクスという研究分野です。

「ナノSTUDIO」では、原子顕微鏡の世界に中高生を誘います。原子顕微鏡は対象の表面を針でなぞって凹凸を検出し、3D画像を描きます。肉眼では見ることのできない「原子」の世界を解き明かすことで、半導体の材料や環境問題の解決になる新素材などの開発につなげます。

「量子コンピューティングセンター」は、化学反応などをシミュレーションできるコンピューターで、速度や計算能力はスーパーコンピューターをしのぎます。IBMが開発した量子コンピューター実機IBM Qを利用できるHubがあるのは、アジアでは慶應理工だけです。

最先端の研究にワクワクが高まった中高生たちが、次に訪れたのが教育研究棟(34棟)。実験室や作業室が集まる理工学部を象徴するような校舎です。
化学科と応用化学科が使用する「共同実験室」は、3年生の授業で使われています。慶應理工の3年は専門を深める時期。たくさんの実験を経験して、レポートの書き方や実験の手法を学び、4年での研究につなげます。
企業から寄贈された最先端の検査装置やX線計測装置など、大学の実験環境としてはかなりのハイレベル。応用化学科では、火・木曜の午後は実験三昧。準備やレポートを含めると、かなりハードな毎日です。

主に機械工学科やシステムデザイン工学科の学生が使用する「マニュファクチュアリングセンター」は、レーザー加工機など最先端の機械工作機があり、金属、木材、プラスチックなどを精緻に加工できます。依頼を受けて実験機器を製作することも。高度なものづくりが展開されています。
ツアーの最後に立ち寄ったのは34棟ロビーの矢上キャンパス50周年記念ウォールアート。理工学生と教職員が「未来のキャンパス」の夢をアートで表現しました。慶應理工学生のパッションが伝わってくる壁画です。
キャンパスツアーを終えた中高生は、在学生たちとの座談会へ。サークル活動、留学、研究など多彩なキャンパスライフを実現する在学生が集結。グループごとに分かれて先輩たちにどんどん質問します。座談会では、参加した女子中高生から在校生に向けてこんな質問が飛び交っていました。

Q. 理工系は忙しいと聞くけど、勉強は大変?
ずっと忙しいというより、メリハリがある忙しさです。1年は第二外国語や教養科目で忙しく、2・3年は少し落ち着くけど授業は高度になります。4年は研究室に属して研究やディスカッション、論文に追われる日々。大変だけど毎日が充実しています。
Q. 女子が少ない理工学部で困ったことは?
授業でも研究でも、女子であることを特別に意識したことはないですね。男子学生も女子学生も対等に、おたがい尊重しあっていると思います。ただ、女子学生が少ないぶん、団結力や絆は深いかも!
Q. 学門制で良かった!と思うのは?
入試時点では専門を絞れなかったので、「学門制」で関心領域を広く学び、2年で学科を選べたのはすごく良かったと思います。途中で学科を変更できる「学門超え」という制度もあります。自分が本当に学びたいことを究められる環境だと思います。
Q. 慶應の理工学部ならではの魅力は?
教授の研究レベルの高さ。世界的に活躍している教授が多いから、学びの質も面白さも抜群です。総合大学であることも魅力。1・2年は、日吉キャンパスで他学部の学生との交流の場が多くあります。将来、一緒に起業したり、社会人になってからもつながる機会が多いと思います。
1時間超におよんだ座談会は大盛況。中高生の皆さんも、キャンパスライフに向けて夢が広がったようです。

参加した中高生の声
理科と数学が好きで、農業にも興味があります。理工系に進んだら、将来の農業に役立つ研究ができるかもと思い、参加してみました。楽しかったのはSTUDIO。こんなことやってみたい!と夢が広がりました。(中学2年)
実験が好きなので、化学実験室やマニュファクチュアリングセンターの見学では、ワクワクしました。大学生の先輩たちも丁寧に案内してくれて、とても楽しかったです。(高校1年)
大学ではこんないろいろな研究をしているんだと驚きました。自由なところが自分に合っていると思いました。大学生活ではいろんな人と関わって、自分にできることを見つけたいと思いました。(高校2年)

参加した在校生の声
慶應理工に入って良かった!という思いを中高生の皆さんに伝えたくて参加しました。受験生時代を思い出しながら、大学選びや学部選びのアドバイスをさせていただきました。(機械工学科2年)
受験勉強だけでなく、大学にワクワクする体験をして欲しくて参加しました。慶應理工に入って、興味や夢は広がるばかり。そんな楽しさが伝えられたら、うれしいです。(物理情報工学科3年)
私自身が高校時代に知りたかった大学選びや受験勉強のコツを伝えました。慶應大学は多様な学生がいて、尊敬できる教授が多いのが魅力。皆さんの大学選びの参考になればと思います。(化学科 修士1年)

慶應理工に集まれ!未来の科学技術者たち
清水智子准教授(物理情報工学科)×竹村研治郎教授(機械工学科)
Girls Meet STEMを開催した先生にお話を聞きました。

清水 私が学生の頃は、理系女子は珍しがられることも多かったのですが、今は男子学生と対等に扱われますし、優秀で将来も有望であることも認められています。私たちは理工系を志す女子を応援しよう!と、3年前から女子中高生向けのイベントをスタートしました。2年前から山田進太郎D&I財団の協力を得て実施しています。
竹村 慶應理工では、女子学生は全体の2〜3割。男子学生と同じくチャンスが開かれていますが、「女子でも大丈夫かな」と不安に感じる女子中高生や保護者の方もゼロではないですよね。
清水 その壁を破りたいですよね。世の中ではDEIが求められていますが、研究においても同様です。多様な人が集まることで、新たな発見や発想が生まれる。その意味では、私たち理系女子は、日本や世界の科学技術の発展に大きく貢献できるのです。
竹村 教員になって実感したのは慶應に根づく「半学半教」の精神。学生に教えるのが私たちの仕事ですが、多様な学生の発想や疑問から学ぶことも本当に多いですね。
清水 そこは慶應の良さ! 私たちは学生を手取り足取り教えるのではなく、学生が自ら考え、答えを見つける手助けをする。そのために学生たちが多様な経験し、多様な人たちと共創できる場をつくりたいと考えています。これからもより多くの方に、そんな慶應理工の魅力を伝えていきたいですね。
この投稿をInstagramで見る
この記事に関するお問い合わせはこちら
慶應義塾大学理工学部KeiDGs委員会